この記事ではチャートによって形成される特徴的なパターン「チャートパターン」について解説します。
代表的な8種類のチャートパターンの仕組みと、それを使用したトレード方法について掲載していきます。
チャートパターンは大別すると「トレンド状況を把握するのに役立つもの」と「エントリー判断に役立つもの」になりますが、どちらもトレードの際にはとても有用です。
チャートパターン
チャートパターンとは、相場の値動きによってチャート上に形成されるチャートの特徴的なパターンです。
チャートパターンを用いた分析は「フォーメーション分析」と呼ばれ、トレンド判断やエントリーポイントを見極めるために使われます。
フォーメーション分析では、これまでのチャートの動きから将来のチャートのパターンについて分析します。
チャートパターンには2つの種類があり、
- リバーサル・フォーメーション(反転パターン)
- コンティニュエーション・フォーメーション(継続パターン)
が存在します。
リバーサル・フォーメーション(反転パターン)は相場のトレンド状態が続いた後に発生するチャートパターンであり、現在のトレンドから相場が反転する可能性が高いというサインになります。
コンティニュエーション・フォーメーション(継続パターン)も相場のトレンドが続いた後に発生するチャートパターンですが、コンティニュエーション・フォーメーションが発生した際は、現在のトレンドはこのまま継続する可能性が高いというサインになります。
リバーサル・フォーメーション
リバーサル・フォーメーションは、チャートパターンの反転パターンです。
リバーサル・フォーメーションには、
- ヘッドアンドショルダー
- ダブル
- スパイク
- ソーサー
の4種類のチャートパターンが存在します。
ヘッドアンドショルダー
ヘッドアンドショルダーとは
ヘッドアンドショルダーは「三尊」とも呼ばれるチャートパターンで、トリプルボトムやトリプルトップと似ていますが、形成された3つの山のうち頂点が突出している状態です。
底値圏で出現するものをヘッドアンドショルダーズ・ボトム(逆三尊)、天井圏で出現するものをヘッドアンドショルダーズ・トップ(三尊)とも言います。
ヘッドアンドショルダーはトリプルトップの形で3つの山が出現します。
真ん中の山が頭に、両サイドの2つの山が肩に見えることから、ヘッド(頭)・アンド・ショルダー(肩)という名前が付けられています。
2つ目の山を形成した段階では、まだ上昇力が強いことを表していますが、その後の3つ目の山を形成する段階では、多くのケースで2つ目の山(高値)を超えられず、1つ目の山と同じくらいの水準まで下がります。
ヘッドアンドショルダーのエントリーポイント
ヘッドアンドショルダーのエントリーポイントは、上昇トレンド相場中に天井圏で出た時が狙い目です。
下降トレンドやもみあい相場で出たとしてもエントリーポイントにはなりません。
下降トレンドでエントリーをする場合は、ヘッドアンドショルダー・ボトム(逆三尊)でエントリーをしましょう。
ヘッドアンドショルダー・ボトムは、ヘッドアンドショルダー(三尊)を反転させたような形であり、3つの谷ができている状態です。
この3つの谷(安値)は、2つ目の谷が一番深く、両サイドの谷は同じくらいの深さで形成されます。
ヘッドアンドショルダーと同じく、2つ目の谷を形成した段階では、まだ下降力が強いことを表していますが、その後の3つ目の谷を形成する段階では、2つ目の谷(安値)を超えられず、1つ目の谷と同じくらいの水準まで上がります。
ヘッドアンドショルダーでエントリーをする場合、基本的には逆張りでエントリーをします。
上昇トレンド中にエントリーする場合、LOW(売り)のエントリーをします。
下降トレンド中にエントリーする場合、HIGH(買い)のエントリーをします。
上昇トレンドの場合
上昇トレンド中にエントリーをする場合は、ヘッドアンドショルダー(三尊)が形成された場合のみエントリーをします。
具体的には、形成されたヘッドアンドショルダーのネックラインを下抜けた場合にLOW(売り)のエントリーをしていきます。
イメージとしてはサポートライン(支持線)を意識すれば問題ありません。
下降トレンドの場合
下降トレンド中にエントリーをする場合は、ヘッドアンドショルダー・ボトム(逆三尊)が形成された場合にエントリーをします。
具体的には、形成されたヘッドアンドショルダー・ボトムのネックラインを上に突き抜けた場合にHIGH(買い)のエントリーをします。
ダブル
ダブルはチャートパターンの中で最も有名なチャートパターンの1つです。
ダブルには
- ダブルトップ
- ダブルボトム
の2種類があります。
ダブルトップ
チャートが「M」のような形になった場合、ダブルトップが形成されています。
ダブルボトムが発生する要因には、高値をつけて少し落ちた後にトレーダーたちが再び高値を狙ったものの、前回の高値を超えられずに価格が下がっていくという背景があります。
前回高値を少し超えてから反落する場合もありますが、基本的には同じような価格で反転します。
上昇トレンドで形成された「ダブルトップ」以外はエントリーをしないようにしましょう。
ダブルボトム
チャートが「W」の形のようになった場合、ダブルボトムが形成されています。
安値を付けた後に多少反発するものの、すぐにまた価格は下がり、前回の安値付近で再び反発した状態の事をダブルボトムといいます。
前回の安値を割らずに反発する場合と、少し割ってから反発する場合があります。
下降トレンドで形成された「ダブルボトム」以外はエントリーをしないようにしましょう。
ダブルトップ・ダブルボトムのエントリー方法
ダブルトップまたはダブルボトムでエントリーをする場合、ヘッドアンドショルダーと同じく逆張りでエントリーをします。
ダブルトップで上昇トレンドの場合、1つ目の高値が反落した後の反発しているV字の部分の安値がそのままネックラインになります。
形成されたネックラインを下抜けた場合はLOW(売り)のエントリーをしましょう。
ローソク足が確定した時点でネックラインを割っていたらエントリーというのが基本的なトレード方法です。
スパイク
スパイクのチャートパターンは「V字」のような形をとっているチャートパターンです。
スパイクには
- スパイクトップ
- スパイクボトム
の2種類があります。
スパイクトップ
スパイクトップは逆V字型のような形をしており、価格が急騰後に急落する推移の仕方をします。
上位足で見た際には長い上ひげのような形になっている事が多いです。
要人や大企業がファンダメンタル的に重要度の高い発言をした際などに発生する可能性があります。
スパイクトップは上昇トレンド中に形成される確率が高く、上昇トレンド中に形成された場合はそのまま下降トレンドに変わりやすいため、強い反発力があるチャートパターンになります。
トレンドフォローでエントリーをする投資家が「このまま強い勢いで上昇トレンドが継続されそうだ」と思っているといきなり急落するので、このチャートパターンは「トレーダー泣かせ」ともいわれています。
スパイクボトム
スパイクボトムはV字型の大底のような形をしており、価格が急激な下落のあとに急騰する推移の仕方をします。
上位足で見た際には長い下ひげのような形になっている事が多いです。
スパイクトップ同様に、スパイクボトムもファンダメンタル的に重要度の高い動きがあった場合に発生しやすいです。
スパイクボトムは下降トレンド中で形成される確率が高く、下降トレンド中に形成された場合はそのまま上昇トレンドに変わりやすいため、スパイクトップ同様に強い反発力があります。
スパイクの注意点
基本的にスパイクは、直前の高値または安値からなるネックラインがエントリーポイントとしてあります。
しかしスパイクを狙って正確にエントリーするのは非常に難しいため、「スパイクという型のチャートパターンが存在して、もしも形成された場合はトレンドが反転する確率が高い」という程度の知識として持っている程度でも問題ないでしょう。
ソーサー
ソーサーのチャートパターンは「半円形型」のような形をとっているチャートパターンです。
ソーサーには、
- ソーサートップ
- ソーサーボトム
の2種類のチャートパターンが存在します。
ソーサートップ
ソーサートップは、
「強い上昇の後で、じりじりと上昇していき、その後ゆるやかに下落していく」
ような上に緩やかなアーチを描く形で、安値圏でもみ合ったのちにネックラインを割れて下落するといったパターンのものです。
「ラウンドトップ」と呼ばれている場合もあります。
ソーサートップのネックラインは「サポートライン」をイメージするとわかりやすいです。
ソーサーボトム
ソーサーボトムは、
「強い下落の後で、じりじりと下落していき、その後ゆるやかに上昇していく」
ような下に緩やかなアーチを描く形で、高値圏でもみ合ったのちにネックラインを割れて上昇するといったパターンのものです。
「ラウンドボトム」と呼ばれている場合もあります。
ソーサーボトムのネックラインは「レジスタンスライン」をイメージするとわかりやすいです。
ソーサーの注意点
ソーサーは先に説明した他の3つのパターンほどわかりやすい形状ではなく、現れたときも完全な半円形にならないことも多いことから気付きにくいとされています。
しかし、ソーサーというチャートパターンが存在するという知識があるのとないのとでは、大きな違いがあります。
コンティニュエーション・フォーメーション(継続パターン)
コンティニュエーション・フォーメーション(継続パターン)とは、形成された場合はトレンドが継続する可能性が高いことを表すチャートパターンの総称です。
コンティニュエーション・フォーメーションには、
- トライアングル
- ペナント
- フラッグ
- ウェッジ
の4種類が存在します。
トライアングル
トライアングルとは、名前のようにチャート上に「三角形」が形成されるチャートパターンになります。
トライアングルはコンティニュエーション・フォーメーションの中では最も有名なチャートパターンです。
トライアングルの中には、
- 上昇型トライアングル
- 下降型トライアングル
- 対称型トライアングル
の3種類が存在します。
上昇型トライアングル
上昇型トライアングルは「上辺のラインが水平であり、下辺のラインが上昇している三角形」のことを言います。
もみ合いの中で何度か上値を突き抜けようとしますが、もみ合いを抜け切れないでライン内での反発を繰り返します。
反発した際に下値が少しずつ上昇していき、上辺と下辺が交わる直前に上辺ラインを突破して上昇トレンドを再開する特徴を持っています。
上昇型トライアングルが形成された場合は上昇トレンドが継続されるサインのためHIGH(買い)のエントリーをします。
下降型トライアングル
下降型トライアングルは「下辺のラインが水平であり、上辺のラインが下降している三角形」のことを言います。
もみ合いの中で何度か下値を下抜けようとしますが、もみ合いを抜け切れないでライン内での反発を繰り返します。
反発した際に上値が少しずつ下降していき、上辺と下辺が交わる直前に下辺ラインを突破して下落トレンドを再開するような特徴があります。
下降型トライアングルが形成された場合は下降トレンドが継続されるサインのためLOW(売り)のエントリーをします。
対称型トライアングル
対称型トライアングルは「下向きの上辺のラインと上向きの下辺のラインで構成されている三角形」のことを言います。
もみ合いの中で何度か上下動を繰り返し、上値を切り下げるか下値を切り上げます。
上辺と下辺が交わる直前に上辺または下辺を突破しトレンドを再開するような特徴があります。
対称型トライアングルが形成された場合、それまで推移していたトレンドが継続されるサインのため、直前まで推移していたトレンドと同じ方向にエントリーをします。
ペナント
ペナントはコンティニュエーション・フォーメーションの1つで、チャートにペナントが発生すると「トレンドは継続されやすい」というサインになります。
ペナントは画像のように三角形で形成されていて、急上昇あるいは急下降した相場のあとに形成されます。
ボリンジャーバンドの「スクイーズ」に近い形になり、スクイーズと同じように次に形成されるトレンドのために勢いを溜めているサインです。
フラッグ
フラッグはコンティニュエーション・フォーメーションの1つで、チャートにフラッグが発生するとペナントと同じように「トレンドは継続されやすい」というサインになります。
フラッグは画像のように四角形で形成されていて、名前の通り「旗」をイメージできるような形になります。
フラッグもペナントと同じように急上昇あるいは急下降した相場のあとに現れますが、フラッグでは典型的なレンジのようにレジスタンスラインとサポートラインが平行線で存在します。
上昇トレンド中に発生した場合はレジスタンスラインを上に突き抜けて上昇トレンドの継続、
下降トレンド中に発生した場合はサポートラインを下に突き抜けて下降トレンドの継続
が見込まれます。
ウェッジ
ウェッジもコンティニュエーション・フォーメーションの1つです。
ウェッジには、
- 上昇ウェッジ
- 下降ウェッジ
の2種類のチャートパターンが存在します。
上昇ウェッジ
上昇ウェッジは、最後の力を振り絞りながら上昇し、やがて失速するタイプのチャートパターンです。
高値も安値も切り上げながら上昇するのですが、高値の切り上げ幅が小さいのが特徴です。
買い手が何度も上方向への突き抜けを試しますが、失敗して失速していきます。
しかし、もし上方向に突き抜けた際には、再び上昇が始まっていきます。
この後で起きる下方向への突き抜けは買い手のロスカットを巻き込むので、継続的な下降トレンドがスタートするには絶好のきっかけになります。
上昇トレンドの終わりに発生した場合には反転のサインである可能性もあるのが上昇ウェッジの特徴です。
そのため、エントリーの際にウェッジだけ「根拠」を固めるのは難しいため、オシレーター系インジケーターと組み合わせて使う事が多いです。
下降ウェッジ
下降ウェッジは上昇ウェッジの反対で、売り手のトレーダーが頑張って売りを続けるものの、なかなか下げずに力尽きるパターンです。
上昇トレンドの押し目で下降ウェッジが出た場合には、上昇トレンドの継続パターンとなります。
下降ウェッジパターンでは、高値と安値がともに切り下がっていきますが、安値の切り下げ幅の方が浅くなります。
チャートパターンの引き方
チャートパターンのラインは「トレンドライン」とも言い、引き方には正しいやり方があります。
トレンドラインはローソク足の実体で線を引きます。
初心者だとローソク足のひげで線を引いてしまいがちですが、実体同士で引くのが基本です。
ひげ同士で結んでしまうと、一時的に価格が上昇もしくは下降してしまった場合があるため、一時的な要因に影響されてしまう可能性があります。
また、トレンドラインを引く際には、なるべくトレンドラインとローソク足の実体の接点が多くなるように引きましょう。
より正確に相場をとらえるための策です。
簡単に2点で結んでしまうと明確なトレンドラインとは言えません。
接点は最低でも3つ、基本的には4つ程度の接点を作るようにしましょう。
まとめ
この記事では代表的なチャートパターンであるリバーサル・フォーメーション(反転パターン)とコンティニュエーション・フォーメーションを解説しました。
チャートパターンは多種多様ですので、全てのパターンを覚えておくのは難しいですが、知識があるかないかでトレードは大きく変わってきます。
例えば、他のインジケーターを使用する時でも、「逆張り」のエントリーサインが出た場合でも継続パターンと分かれば回避することができます。
バイナリーオプションを攻略するうえで有力となりますので、チャートパターンをぜひ試してみてください。