この記事ではトレンド系インジケーターである「ADX」について解説します。
ADXを使うことでトレンドの強弱と買い手と売り手の強弱のバランスが把握できます。
必要な知識が多いため上級者向けですがエントリーするタイミングが多く、マスターすればバイナリーオプション攻略の助けになります。
ADX
ADXとは
ADXとは、「Average Directional Movement Index」の略で、トレンドの強さを図るトレンド系インジケーターです。
日本語に訳すと「平均方向性指数」と呼ばれており、相場の趨勢・方向性の強さを表します。
使用するのは比較的難しく、難易度としては中級程度の実力が必要だと考えます。
ADXは、
- ADX(Average Directional Index)
- +DI(Directional Indicator)
- -DI(Directional Indicator)
上記の3本のラインが存在します。
この3本のラインはそれぞれ、
DMP = 当日高値 - 前日高値
DMN = 前日の安値 - 当日の安値
DMP < 0 かつ DMN < 0 の場合
→ DM+ = 0、 DM- = 0
DMPかDMNが正でDMP < DMN の場合
→ DM+ = 0、 DM- = DMN
DMPかDMNが正でDMP > DMN の場合
→ DM+ = DMP、 DM- = 0
上記以外の場合
→ DM+ = 0、 DM- = 0
+DI = +DMのN日間総和 ÷ True RangeのN日間総和 × 100
-DI = -DMのN日間総和 ÷ True RangeのN日間総和 × 100
DX = (+DI – -DI)の絶対値 ÷ (+DI+ -DI) × 100
ADX = DXのM日単純移動平均
ADXR = ADXのL日単純移動平均、ADXのブレを除いた指標
という計算式の元に成り立っています。
この計算式は覚える必要はありませんが、目を通しておいてください。
ADXの特性
指標内でのADXはトレンドの勢いの強弱を図る指標になっています。
ADXは上の画像では青のラインで表示されているものです。
ADXがオシレーター内で下部にある場合、トレンドの勢いが弱いとされます。
ADXが下降状態にある場合、トレンドの勢いが収束していきます。
ADXはトレンドの強さを表す指標なため、価格は下降トレンドで落ちていてもADXは上昇します。
つまり、ADXが上昇したからといって価格も上昇するわけではありません。
ここが混乱を招いてしまう原因となっています。
また、ADXが長い間上部に推移し続けた場合、トレンドの勢力はずっと強いままです。
しかし、ずっと上がり続ける相場はありません。
そのため、ADXが上部で推移し続けていた場合、トレンドの勢力は衰えていきます。
反対に、ADXが下部に推移し続けた場合、トレンドの勢力は強くなりトレンドが発生します。
+DIの特性
指標内での「+DI」は、買い手(上昇)の勢いの強弱を図る指標になっています。
+DIは、上の画像では緑のラインになっています。
+DIがオシレーター内で下降した場合、買い手の勢力が弱くなります。
+DIが-DIよりも下にいる時は、売り手よりも買い手の勢力が弱いことを示します。
-DIの特性
指標内での-DIは、売り手(下降)の勢いの強弱を図る指標になっています。
-DIは、上の画像ではオレンジのラインになっています。
-DIがオシレーター内で下降した場合、売り手の勢力が弱くなります。
-DIが+DIよりも下にいる時は、買い手よりも売り手の勢力が弱いことを示します。
上記のことからわかるように、ADXとは違い「+DI」と「-DI」は2本を同時に見て相場を判断していきます。
ADXは、「ADX」と「±DI」の2つの指標が存在し、2つの判断材料があると考えて下さい。
トレード方法
実際にADXを使用してトレードする場合、基本的に「順張り」でのトレードします。
順張りとは、発生したトレンドに沿ってエントリーをするトレードの手法です。
上昇トレンドの場合、HIGH(買い)のエントリーをします。
下降トレンドの場合、LOW(売り)のエントリーをします。
ADXではトレンドの強さ、+DIと-DIでは買い手と売り手の強さを見てエントリーポイントを探します。
HIGH(買い)のエントリーをする場合、-DIと+DIがゴールデンクロスをして2本目陽線が続いたらエントリーをします。
LOW(売り)のエントリーをする場合、-DIと+DIがデッドクロスをして2本陰線が続いたらエントリーをします。
・ゴールデンクロス
ゴールデンクロスとは、
ある線を基準にして、他の線が下から上に抜けること
を言います。
・デッドクロス
デッドクロスとは、
ある線を基準にして、他の線が上から下に抜けること
を言います。
まず、エントリーする際に現在の相場の動きを軽く把握しておきましょう。
なぜ相場の動きを確認するかというと、押し目や戻りが存在しているからです。
押し目や戻りは「トレンドの傾きすぎを解消するため一時的に反発すること」を言います。
この反発はFXトレーダーが利確損切を行った際に起きる価格変動になります。
このとき+DIとーDIがクロスしてしまうかもしれませんが、この時にエントリーをすると高確率で負けてしまいます。
仮にサインが出たとしても、100%勝てるわけではありません。
例えば、下降トレンド中でADXが高い状態でのHIGH(買い)のエントリーのサインは信用度が低いと考えられます。
そのため+DIとーDIでトレードする場合、逆張りをしないで順張りのみでのトレードの方が勝率は高くなります。
エントリーのサインが出たとしても、エントリーする際には「根拠」を持つようにしましょう。
結局のところ、ADXではエントリーのサインが出たとしても自己裁量で判断するものが多いのです。
ADXでのエントリーする場合、エントリー機会が多いことはプラス要因ですが、エントリーをするか否かは個別に判断する必要があるためあまり人気ではありません。
しかし、トレンドの判断やADX自体の見方が身につけば勝率も高く、中級者以上であれば正しく使用できると思います。
また、トレンドフォロー系のインジケーターと相性が良いため、移動平均線やMACDとの組み合わせも良いでしょう。
もしもエントリーする時に「ADX」が低い水準で推移していた場合、エントリーを見逃しましょう。
まとめ
ADXはトレンド系インジケーターで、トレンドの強弱と買い手と売り手の強弱のバランスを把握できます。
必要な知識が多いため上級者向けですが、エントリーするタイミングが多く、マスターすればバイナリーオプション攻略の助けになります。
バイナリーオプションに慣れないうちは、移動平均線やボリンジャーバンド、RSIなどから学んでから使用すると、早くコツを掴めるようになるでしょう。
使用は難しいので人気はあまり高くありませんが、知識や経験を積んだ上で使用すると強力なインジケーターです。