レンジ相場とは持ち合い相場とも呼ばれ、一定の価格の幅で推移し続ける相場のことです。
バイナリーオプションの取引手法の多くはレンジ相場で行われています。
バイナリーオプションでは値幅ではなく取引回数が必要なので、レンジ相場の攻略はバイナリーオプション攻略に直結しています。
そこで本記事ではレンジ相場で取引する上で役立つ知識と取引方法を紹介していきます。
目次
レンジ相場とは
レンジ相場とは、持ち合い相場とも呼ばれ、一定の価格の幅で推移し続ける相場のことです。
正確には、ポジションを持っている人同士またはポジションをこれから持つ人が心理戦を繰り広げている状態で、その心理戦に優劣がついていない状態になります。
FXのような価格差が必要な投資では、レンジブレイクのタイミングやトレンドの押し目買い・戻り売りなどレンジ相場は避けてのトレードが基本になります。
その一方で、バイナリーオプションでは予想した方向に傾けば固定倍率でペイアウトされるため、レンジ相場での取引はバイナリーオプションの良いところを最大限生かしていることになります。
レンジ相場で有効なインジケーター
レンジ相場は一定の価格幅の範囲内で動く相場です。
そのため、レンジ相場では「オシレーター系インジケーター」がとても有効です。
トレンド系インジケーターはレンジ相場か否かの判断に使われますが、エントリーポイントを判断をするためにトレンド系インジケーターが使われることはほぼありません。
レンジ相場で有名で有効なインジケーターとしては、
- RSI
- ストキャスティクス
などが存在します。
RSI
RSIはRelative Strength Indexの略で、日本語では「相対力指数」といわれているオシレーター系インジケーターです。
オシレーター系インジケーターとは、今発生しているトレンドに対して「売られすぎ」「買われすぎ」の状態を判別してトレンドの転換を予測してくれる指標のことです。
RSIの計算式は以下の通りです。
RSI = (一定期間の上げ幅の合計)
÷(一定期間の上げ幅の合計 + 一定期間の下げ幅)
×100(%)
一定期間(一般的には直近ローソク足14本分)において上昇した値幅がどのくらいあるのか、ということを計算しています。
数値は0%~100%の間で推移します。
50%を中心として、一般的には30%以下で「売られすぎ」、70%以上で「買われすぎ」と判断されるインジケーターです。
つまり50%以上で買い方向、50%以下で売り方向に力が強くなっています。
ストキャスティクス
ストキャスティクスはオシレーター系インジケーターの一種で、一定期間の相場における高値と安値に対して現在の価格がどの程度の位置にあるのかを数値で表しています。
ストキャスティクスでは、%Kライン、%Dライン、SDラインという3本のラインから2つのラインを選んで使用します。
この%Kライン、%Dライン、SDラインは以下のように定義されます。
計算式自体は覚えなくても良いですが、ストキャスティクスが何を表しているかは把握しておきましょう。
%Kラインの算出式
%K=[(C-Ln)/(Hn-Ln)]×100%
C:直近の終値
Ln:過去n日間の最安値
Hn:過去n日間の最高値
※ほとんどの場合、nには5,9,14の値を取ります。
%Dラインの算出式
%D=(Hm/Lm)×100%
Hm:(C-Ln)のm日間合計
Lm:(Hn-Ln)のm日間合計
※ほとんどの場合、mは3の値を取ります。
SDラインの算出式
SD=%Dのm日間の移動平均
※ほとんどの場合、mは3の値を取ります。
ストキャスティクスの中には2種類があります。
「スローストキャスティクス」と「ファストストキャスティクス」です。
「スローストキャスティクス」は%Dと%SDの組み合わせによって形成されているストキャスティクスです。
「ファストストキャスティクス」は%Kと%Dの組み合わせによって形成されているストキャスティクスです。
ストキャスティクスは%K、%D、SDによって構成されています。
%Kは、ある一定の期間における高値と安値の値幅中で『現在の価格が安値から何%の位置にあるのか』を表した値になります。
%Kと%Dの組み合わせの「ファストストキャスティクス」の場合、相場に対して敏感に反応して激しく動きます。
そのため騙しも多く、ファストストキャスティクスは使用するのは難しいとされています。
反対に、%DとSDの組み合わせの「スローストキャスティクス」は、ファストストキャスティクスを平滑化しているものになるため、比較的騙しも少ないので人気が高いです。
レンジ相場を判断するインジケーター
レンジ相場でトレードする場合、、まずはレンジ相場であることを判断しなければなりません。
レンジ相場を判断できるトレンド系インジケーターはたくさんありますが、その中でも他のインジケーターと組み合わせやすいものとして
- 移動平均線
- ボリンジャーバンド
を紹介していきます。
移動平均線
移動平均線でレンジ相場を判断する場合、期間設定を分けた移動平均線を使用します。
期間設定による種類
移動平均線には、期間設定によって区別されています。
- 短期移動平均線
- 中期移動平均線
- 長期移動平均線
それぞれ平均化されている期間設定が短期・中期・長期と異なっています。
短期移動平均線
短期移動平均線は「5~12日間」を平均化している移動平均線です。
短期の動きを把握するのに適しているため、新しい動きを捉えるのに使えます。
短期移動平均線は騙しが多いため、他のインジケーターや中期/長期移動平均線と組み合わせて使うのが主流です。
中期移動平均線
中期移動平均線は「50〜75日間」を平均化している移動平均線です。
日程設定が長くなった分だけ、短期移動平均線より滑らかな動きになります。
中期移動平均線も他の期間設定の移動平均線との組み合わせでよく使われます。
長期移動平均線
長期移動平均線は設定日数が「100~200日間」なので、中期移動平均線よりも更に滑らかに動く移動平均線です。
大きな動きを見せることは滅多にありませんが、大まかなトレンドを掴むことができます。
長期移動平均線を使うと上位足で見られる大まかな動きを下位足で見ることができます。
レンジ相場の判断
上記で説明した3本の線を利用してレンジ相場の判断をしていきます。
この3本の移動平均線が横ばいで線同士が絡んでいたり、平行であった場合はレンジ相場と考えられます。
つまり、基本的には移動平均線の傾きが無い場合はレンジ相場と考えられます。
ただし注意点として、レンジブレイクの際に移動平均線での判断は難しいのが難点です。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドは「標準偏差」という相場の変動の大きさを表す統計学に基づいたインジケーターです。
標準偏差 = √(n × n日間の終値の2乗の合計 − n日間の終値の合計の2乗) ÷ (n×(n−1))
そして、
±2σ = n日の移動平均 ± n日の標準偏差 × 2
±3σ = n日の移動平均 ± n日の標準偏差 × 3
の式を使用します。
ボリンジャーバンドでは、下の図のようにチャート上に移動平均線も含め7本表示されます。
移動平均線以外の6本が表す3つの領域は、以下のような意味合いを持っています。
ボリンジャーバンドの±2σの範囲内に収まる確率 ⇒ 約95.4%
ボリンジャーバンドの±3σの範囲内に収まる確率 ⇒ 約99.7%
このように統計学に基づいたインジケーターになっています。
ボリンジャーバンドは、もともとは順張り用に作られたインジケーターでしたが、今では逆張りでも使用されています。
ボリンジャーバンドは、相場に対して「売られすぎ」「買われすぎ」の状態を判断することができます。
ボリンジャーバンドは移動平均線も含めた7本の線で構成されています。
3つの大きさのσで構成される特徴的な3つのパターンがあります。
まずはこの3パターンを把握しておきましょう。
スクイーズ
スクイーズとは、
・ボリンジャーバンドの帯が収束している状態のこと
を言います。
この状態は相場が次のトレンドに向けて力を溜めている状態なので、基本的に±2σに収まりやすい状態になっています。
±2σを超えると元(移動平均線)に戻ろうとする力が働くため価格が元に戻りやすく、高確率で逆張りに成功する状態です。
エクスパンション
エクスパンションとは、
を言います。
基本的にボリンジャーバンドはスクイーズ(収束状態)とエクスパンション(拡大状態)を繰り返しています。
そのため、スクイーズの状態のあとは上下に大きく値幅が広がるエクスパンションが高い確率で来ます。
この時に移動平均線をよく見てください。
どちらかに角度がない状態だった場合はまたすぐにスクイーズの状態に入ります。
エクスパンションの相場の際は、ボリンジャーバンドの真ん中の線の移動平均線に注目しましょう。
また、動いている方向と逆の方向にボリンジャーバンドが広がっているかどうかで確認することもできます。
バンドウォーク
バンドウォークとは、
のを言います。
この状態は±2σに沿っているため、「売られすぎ」「買われすぎ」の状態が続いていることになります。
また、バンドウォークが終わる前には±3σに到達し、長いひげが作られることが予測されます。
その合図が出ると強いトレンドを含んでいたものが大きい反発を受けるため、移動平均線を超える可能性が高いです。
レンジ相場の判断
ボリンジャーバンドで、レンジ相場を見極める際は簡単で、上記で述べたようにスクイーズの場合が「レンジ相場」とされています。
ボリンジャーバンドの3つのパターンを覚えておくだけで相場がどのような状態なのかわかります。
また、ボリンジャーバンドはエントリーポイントを判断する要素がシンプルな上に多いので、レンジ相場の判断以外でも人気の高いインジケーターになっています。
トレードをする際の注意点
レンジ相場でトレードする際には、基本的にレンジの価格幅内での反発を狙った「逆張り」が多く、「バンドタッチ」や「ラインタッチ」をエントリーサインとして使用することが多いでしょう。
この際に、タイミングを逃した場合にありがちな「追いかけ」はしないようにしましょう。
また、レンジの状態では「レンジブレイク」の事も念頭に入れて取引をしなければいけません。
レンジ相場は次のトレンドへの準備状態というイメージを持っておくと、レンジ相場が長く続いているときにレンジブレイクの警戒が出来るのでおすすめです。
まとめ
レンジ相場でのトレードでは「逆張り」という手法を使って取引していきます。
基本的なトレード戦略としては、レンジ相場の価格幅内の反発を狙っていくことになります。
レンジ相場は、FXでは取引がやりにくい相場ですが、バイナリーオプションでは逆に取引チャンスが多く潜んでいる相場となります。
バイナリーオプションでは価格差に関係なく一定倍率でペイアウトされるため、レンジ相場での取引はバイナリーオプションの良いところを最大限に生かしている局面になります。