バイナリーオプションにはさまざまな取引戦略がありますが、エントリーポイントの条件としてしばしば登場するものに「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」があります。
「名前は知ってるけどよくわからない」
「なんとなく分かるけど詳しくは理解していない」
という方も多いのではないでしょうか。
今回はゴールデンクロス・デッドクロスについて詳しく説明するとともに、これらを使用した有効なトレード戦略を紹介していきます。
目次
インジケーター
まずゴールデンクロス・デッドクロスを紹介する上で、インジケーターとは何か知っておく必要があります。
ここではインジケーターについて詳しく知らない方のために分かりやすく解説します。
インジケーターは主にテクニカル分析の際に使われ、エントリーポイントを判断するだけでなく、相場の優劣や傾向を判断するためにも使われます。
インジケーターを用いてトレードをすると、決められた条件を満たした際に「サイン」が出ます。
インジケーターはそれぞれ特徴が異なるため、決められた条件もインジケーターによって変わってきます。
さらに、インジケーターには「機能するとき」と「機能しないとき」が存在するため、もし条件が満たされてエントリーの「サイン」が出たとしても、必ずしも勝てるとは限らないのです。
どんなに優秀なインジケーターや取引手法を使っても勝率が100%になることはありません。
インジケーターの機能や特徴を十分に理解していれば「騙し」を回避できるため、格段に勝率は上がります。
ゴールデンクロスとは
ゴールデンクロスとは「価格が下落した後に、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に抜ける現象」のことを指します。
ゴールデンクロスはインジケーターでの「買いのサイン」になることが多いです。
価格が下落する原因としては、
- 相場には「高値つかみ」によって損切りを見込んでいるトレーダー
- ある程度の利益をつかめたことによって利食いを見込んでいるトレーダー
が売りの決済をしていることが挙げられます。
この決済が起きた相場では、
値下がりした相場に参加し利益を見込むトレーダー
損切りをせず少しでも損を減らそうと再度上昇を狙っているトレーダー
が存在します。
これにより相場は上昇する力が働くため、ゴールデンクロスのサインがとして機能するのです。
デッドクロスとは
デッドクロスとは「価格が急騰した後に、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜ける現象」のことを指します。
デッドクロスはインジケーターでの「売りのサイン」になることが多いです。
相場には、予想外の急騰により安値を掴まされ、損切りを見込んでいる人と急騰によって利益を生み出すことができて利食いを見込んでいる人が存在しています。
この決済が起きると相場には、新たに相場に参加し利益を見込む人と、損切りせず少しでも損を減らそうと再度上昇を狙っている人が存在します。
その結果、デッドクロスのサインが生まれます。
インジケーター例
ゴールデンクロス・デッドクロスを使用するであろうインジケーターの例を挙げ、インジケーターがどのようなものか紹介していきます。
インジケーターの中で人気の高いもので紹介していきます。
- 短期移動平均線
- 中期移動平均線
- 長期移動平均線
- ストキャスティクス
- ADX
移動平均線
移動平均線とは、テクニカル分析に使用される最も基本となる指標の1つです。
為替相場の加熟度やトレンドを判断するために役立っています。
一定期間の終値の平均値を平滑化して線を引くことで表示することができます。
移動平均線の種類は1つではなく、使う人や相場の動き方などで細かく使い分けるために、いくつかの種類があります。
代表的なものには、
- 短期移動平均線
- 中期移動平均線
- 長期移動平均線
があります。
短期移動平均線
短期移動平均線は大体「5~12日間」を平均化している移動平均線になります。
短期の動きをすばやく把握するのに適していますが、直近の動きを表すので騙しが多いです。
短期移動平均線は、他のインジケーターや他の期間設定の移動平均線と組み合わせて使うのが主流です。
中期移動平均線
中期移動平均線は基本的に「50~75日間」を平均化している移動平均線になります。
中期移動平均線は、期間設定が75日になっているので短期移動平均線より滑らかな動きになります。
中期移動平均線は、他の期間設定の移動平均線との組み合わせでよく使われます。
長期移動平均線
長期移動平均線は期間設定が「100~200日間」なので、中期移動平均線よりもさらに滑らかに動く移動平均線です。
長期移動平均線は大きな動きはありませんが、大まかなトレンドを掴むことができます。
長期移動平均線は、上位足などで見られる大まかな動きを下位足で見る事ができるため、組み合わせて使われることが多い期間設定になっています。
また、移動平均線はトレンド中にレジスタンスラインまたはサポートラインとして機能します。
しかし、レンジ相場と短期移動平均線はレジスタンスラインとサポートラインとして機能することは少ないので、ここだけは注意するポイントです。
移動平均線についてより詳しく知りたい方には以下の記事もオススメです。
設定方法
MT4で移動平均線を使用する場合は以下のように設定します。
「挿入」 → 「インディケーター」 → 「トレンド」 → 「Moving Average」
期間設定は下記のように、場面に応じて設定しましょう。
また、移動平均線の特徴として、レジスタンスライン・サポートライン(レジサポライン)になる可能性があります。
レジサポラインとは、
- レジスタンスライン(抵抗線)
- サポートライン(支持線)
と呼ばれる高値・安値の水平な線です。
レジスタンスライン
レジスタンスラインは、別名「上値抵抗線」とも言います。
価格が上昇してレジスタンスラインに近づくと、そのラインを超えて価格が上昇しないように圧力がかかります。
つまり、「上値」を超えないように「抵抗」圧力が働く線ということです。
サポートライン
サポートラインは、別名「下値支持線」とも言います。
価格がサポートラインまで下がってきたら、そこよりも下がらないように相場は反発しようとします。
価格が「下値」のラインを越えて下がらないように「支持」する力が働くので、「下値支持線」です。
。
ストキャスティクス
ストキャスティクスとは
ストキャスティクスとはオシレーター系のインジケーターの一種で、一定期間の相場における高値と安値に対して現在の価格がどの程度の位置にあるのかを数値で表しています。
主にテクニカル分析の際に使われ、エントリーポイントを判断するだけでなく、相場の優劣や傾向を判断する為にも使われます。
計算式自体は覚えなくても良いですが、ストキャスティクスが何を表しているかは把握しておきましょう。
ストキャスティクスでは、%Kライン、%Dライン、SDラインという3本のラインから2つのラインを選んで使用します。
それでは%Kライン、%Dライン、SDラインについて見ていきましょう。
%Kラインの算出式
%K=[(C-Ln)/(Hn-Ln)]×100%
C:直近の終値
Ln:過去n日間の最安値
Hn:過去n日間の最高値
※ほとんどの場合、nには5,9,14の値を取ります。
%Dラインの算出式
%D=(Hm/Lm)×100%
Hm:(C-Ln)のm日間合計
Lm:(Hn-Ln)のm日間合計
※ほとんどの場合、mは3の値を取ります。
SDラインの算出式
SD=%Dのm日間の移動平均
※ほとんどの場合、mは3の値を取る。
スローストキャスティクスとファストストキャスティクス
ストキャスティクスの中には2種類があります。
「スローストキャスティクス」と「ファストストキャスティクス」です。
「スローストキャスティクス」は%Dと%SDの組み合わせによって形成されているストキャスティクスです。
「ファストストキャスティクス」は%Kと%Dの組み合わせによって形成されているストキャスティクスです。
%K、%D、SDの特徴
%Kは、「現在の価格が安値から何%の位置にあるのか」を表した値になります。
つまり、高値の更新中は100%という値になり、安値を更新しているときは0%という状態になります。
%Kは他の2つに比べて激しく動きやすい指標ということになります。
%Dは、%Kによって割り出された数値を平均することにより平滑化したものになります。
SDは、%Kを平均(平滑化)し見やすいように分析した%Dをさらに平均(平滑化)したものになります。
上記にもある通り、%Kと%Dの組み合わせの「ファストストキャスティクス」の場合、相場に対して敏感に反応し、激しく動きます。
そのため騙しも多く、ファストストキャスティクスは使用するのは難しいとされています。
反対に、%DとSDの組み合わせの「スローストキャスティクス」は、ファストストキャスティクスを平滑化しているものになるため、比較的騙しも少ないので人気が高いです。
ストキャスティクスはレンジ相場に強い
ストキャスティクスは「レンジ相場」で機能するインジケーターです。
レンジ相場とは上記でもある通り、「買いと売りが均衡し、一定の範囲内で価格が推移する相場」のことです。
反対に、トレンド状態に入ってしまうとストキャスティクスは正しく機能しません。
相場が一方的に動いてしまう「トレンド」の状態だと正しく分析できないため、クロスをしても相場が思うように動かなかったりと騙しが多く生まれてしまうので要注意です。
ADX
ADXとは
ADXとは、「Average Directional Movement Index」の略で、トレンドの強さを図るトレンド系インジケーターです。
日本語に訳すと「平均方向性指数」と呼ばれており、相場の趨勢・方向性の強さを表します。
ADXは、
- ADX(Average Directional Index)
- +DI(Directional Indicator)
- ーDI(Directional Indicator)
上記の3本のラインが存在します。
この3本のラインはそれぞれ、
DMP = 当日高値 - 前日高値
DMN = 前日の安値 - 当日の安値
DMP < 0 かつ DMN < 0 の場合
→ DM+ = 0、 DM- = 0
DMPかDMNが正でDMP < DMN の場合
→ DM+ = 0、 DM- = DMN
DMPかDMNが正でDMP > DMN の場合
→ DM+ = DMP、 DM- = 0
上記以外の場合
→ DM+ = 0、 DM- = 0
+DI = +DMのN日間総和 ÷ True RangeのN日間総和 × 100
-DI = -DMのN日間総和 ÷ True RangeのN日間総和 × 100
DX = (+DI – -DI)の絶対値 ÷ (+DI+ -DI) × 100
ADX = DXのM日単純移動平均
ADXR = ADXのL日単純移動平均で、ADXのブレを除いた指標
という計算式の元に成り立っています。
この計算式は覚える必要はありませんが、目を通しておいてください。
「ADX」の特性
指標内でのADXはトレンドの勢いの強弱を図る指標になっています。
ADXは上の画像では青のラインで表示されているものです。
ADXがオシレーター内で下部にある場合、トレンドの勢いが弱いとされます。
ADXが下降状態にある場合、トレンドの勢いが収束していきます。
ADXはトレンドの強さを表す指標なため、価格は下降トレンドで落ちていてもADXは上昇します。
つまり、ADXが上昇したからといって価格も上昇するわけではありません。
ここが混乱を招いてしまう原因となっています。
また、ADXが長い間上部に推移し続けた場合、トレンドの勢力はずっと強いままです。
しかし、ずっと上がり続ける相場はありません。
そのため、ADXが上部で推移し続けていた場合、トレンドの勢力は衰えていきます。
反対に、ADXが下部に推移し続けた場合、トレンドの勢力は強くなりトレンドが発生します。
+DIの特性
指標内での「+DI」は、買い手(上昇)の勢いの強弱を図る指標になっています。
+DIは、上の画像では緑のラインになっています。
+DIがオシレーター内で下降した場合、買い手の勢力が弱くなります。
+DIが-DIよりも下にいる時は、売り手よりも買い手の勢力が弱いことを示します。
-DIの特性
指標内での-DIは、売り手(下降)の勢いの強弱を図る指標になっています。
-DIは、上の画像ではオレンジのラインになっています。
-DIがオシレーター内で下降した場合、売り手の勢力が弱くなります。
-DIが+DIよりも下にいる時は、買い手よりも売り手の勢力が弱いことを示します。
上記のことからわかるように、ADXとは違い「+DI」と「-DI」は2本を同時に見て相場を判断していきます。
ADXは、「ADX」と「±DI」の2つの指標が存在し、2つの判断材料があると考えて下さい。
設定方法
MT4で使用するための設定方法を掲載します。
メニューバーから、
「挿入」→「インディケーター」→「トレンド」→「Average Directional Movement Index」
の順に選択することで設定することができます。
トレードの際の注意点
ゴールデンクロスやデッドクロスの場合、時間足にもよりますが、判断する際にローソク足が確定してからの判断しましょう。
そのため、サインを判断する際はローソク足が確定してからのエントリーを心がけましょう。
まとめ
インジケーター分析で頻出するゴールデンクロス・デッドクロスですが、一度理解してしまえば簡単に使うことができます。
使用するときの注意点として、サインが出たとしてもローソク足が確定してからのエントリーを心がけるという事です。
ゴールデンクロスやデッドクロスは1つのインジケーターのみでも生じますが、インジケーター同士を組み合わせた場合に生じるゴールデンクロス・デッドクロスも存在します。
ゴールデンクロス・デッドクロスはトレードをする上で必須の知識ですので、しっかり抑えておきましょう。