この記事では、難しいけれども使いこなすと強力なADXと移動平均線の組み合わせについて紹介します。
インジケーター自体の理解に時間がかかってしまいますが、内容がわかると非常に頼もしい組み合わせになります。
トレード機会も多くエントリーポイントが明確なため、ひとたび運用できれば安定して稼ぐことができるでしょう。
目次
用語おさらい
まずは用語のおさらいをしていきます。
熟練したトレーダーの方は読み飛ばしても大丈夫です。
ADXと移動平均線の組み合わせを紹介する前に、スムーズに解説進めるためにおさらいしておきましょう。
「レンジ」「ボックス相場」
ある一定の価格帯(価格帯)を行ったり来たりする現象の事を言います。
「ゴールデンクロス」
ある線を基準にして、他の線が下から上に抜けることを言います。
移動平均線で例えるとするならば、相場が下落した後に短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜けるという現象です。
「デッドクロス」
ある線を基準にして、他の線が上から下に抜ける事を言います。
ゴールデンクロスと同様に移動平均線で例えると、相場が上昇した後に短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に抜ける事を言います。
「順張り」
トレンドに沿った形でエントリーする戦略的取引手法の1つです。
上昇トレンド中にエントリーする場合、HIGH(買い)のエントリーをします。
下降トレンド中にエントリーする場合、LOW(売り)のエントリーをします。
「逆張り」
トレンドに反した形でエントリーする戦略的取引手法の1つです。
上昇トレンド中にエントリーする場合、LOW(売り)のエントリーをします。
下降トレンド中にエントリーする場合、HIGH(買い)のエントリーをします。
「騙し」
使用しているインジケーターやロジックでは勝てるサインが出ているのにも関わらず、相場が思うように動かず勝てない場合のことです。
騙しがあるため、バイナリーオプションのツール等で勝率が100%にならない所以です。
「レジスタンスライン」
レジスタンスラインは別名「上値抵抗線」と言われています。
価格が上昇してレジスタンスラインに近づくと、そのラインを超えて価格が上昇しないように圧力がかかります。
つまり、「上値」を超えないように「抵抗」圧力が働く線ということです。
「サポートライン」
サポートラインは、別名「下値支持線」とも言います。
価格がサポートラインまで下がってきたら、そこよりも下がらないように相場は反発しようとします。
価格が「下値」のラインを越えて下がらないように「支持」する力が働くので、「下値支持線」です。
ADX
ADXとは
ADXとは、「Average Directional Movement Index」の略で、トレンドの強さを図るトレンド系インジケーターです。
日本語に訳すと「平均方向性指数」と呼ばれており、相場の趨勢・方向性の強さを表します。
ADXは、
- ADX(Average Directional Index)
- +DI(Directional Indicator)
- ーDI(Directional Indicator)
上記の3本のラインが存在します。
この3本のラインはそれぞれ、
DMP = 当日高値 - 前日高値
DMN = 前日の安値 - 当日の安値
DMP < 0 かつ DMN < 0 の場合
→ DM+ = 0、 DM- = 0
DMPかDMNが正でDMP < DMN の場合
→ DM+ = 0、 DM- = DMN
DMPかDMNが正でDMP > DMN の場合
→ DM+ = DMP、 DM- = 0
上記以外の場合
→ DM+ = 0、 DM- = 0
+DI = +DMのN日間総和 ÷ True RangeのN日間総和 × 100
-DI = -DMのN日間総和 ÷ True RangeのN日間総和 × 100
DX = (+DI – -DI)の絶対値 ÷ (+DI+ -DI) × 100
ADX = DXのM日単純移動平均
ADXR = ADXのL日単純移動平均で、ADXのブレを除いた指標
という計算式の元に成り立っています。
この計算式は覚える必要はありませんが、目を通しておいてください。
「ADX」の特性
指標内でのADXはトレンドの勢いの強弱を図る指標になっています。
ADXは上の画像では青のラインで表示されているものです。
ADXがオシレーター内で下部にある場合、トレンドの勢いが弱いとされます。
ADXが下降状態にある場合、トレンドの勢いが収束していきます。
ADXはトレンドの強さを表す指標なため、価格は下降トレンドで落ちていてもADXは上昇します。
つまり、ADXが上昇したからといって価格も上昇するわけではありません。
ここが混乱を招いてしまう原因となっています。
また、ADXが長い間上部に推移し続けた場合、トレンドの勢力はずっと強いままです。
しかし、ずっと上がり続ける相場はありません。
そのため、ADXが上部で推移し続けていた場合、トレンドの勢力は衰えていきます。
反対に、ADXが下部に推移し続けた場合、トレンドの勢力は強くなりトレンドが発生します。
+DIの特性
指標内での「+DI」は、買い手(上昇)の勢いの強弱を図る指標になっています。
+DIは、上の画像では緑のラインになっています。
+DIがオシレーター内で下降した場合、買い手の勢力が弱くなります。
+DIが-DIよりも下にいる時は、売り手よりも買い手の勢力が弱いことを示します。
-DIの特性
指標内での-DIは、売り手(下降)の勢いの強弱を図る指標になっています。
-DIは、上の画像ではオレンジのラインになっています。
-DIがオシレーター内で下降した場合、売り手の勢力が弱くなります。
-DIが+DIよりも下にいる時は、買い手よりも売り手の勢力が弱いことを示します。
上記のことからわかるように、ADXとは違い「+DI」と「-DI」は2本を同時に見て相場を判断していきます。
ADXは、「ADX」と「±DI」の2つの指標が存在し、2つの判断材料があると考えて下さい。
設定方法
MT4で使用するための設定方法を掲載します。
メニューバーから、
「挿入」→「インディケーター」→「トレンド」→「Average Directional Movement Index」
の順に選択することで設定することができます。
移動平均線
移動平均線とは、テクニカル分析に使用される最も基本となる指標の1つです。
為替相場の加熟度やトレンドを判断するために役立っています。
一定期間の終値の平均値を平滑化して線を引くことで表示することができます。
移動平均線の種類は1つではなく、使う人や相場の動き方などで細かく使い分けるために、いくつかの種類があります。
代表的なものには、
- 短期移動平均線
- 中期移動平均線
- 長期移動平均線
があります。
短期移動平均線
短期移動平均線は大体「5~12日間」を平均化している移動平均線になります。
短期の動きをすばやく把握するのに適していますが、直近の動きを表すので騙しが多いです。
短期移動平均線は他のインジケーターや他の期間設定の移動平均線と組み合わせて使うのが主流です。
中期移動平均線
中期移動平均線は基本的に「50~75日間」を平均化している移動平均線になります。
中期移動平均線は、期間設定が75日になっているので短期移動平均線より滑らかな動きになります。
中期移動平均線は、他の期間設定の移動平均線との組み合わせでよく使われます。
長期移動平均線
長期移動平均線は期間設定が「100~200日間」なので、中期移動平均線よりもさらに滑らかに動く移動平均線です。
長期移動平均線は大きな動きはありませんが、大まかなトレンドを掴むことができます。
長期移動平均線は、上位足などで見られる大まかな動きを下位足で見る事ができるため、組み合わせて使われることが多い期間設定になっています。
また、移動平均線はトレンド中にレジスタンスラインまたはサポートラインとして機能しますが、レンジ相場と短期移動平均線はレジスタンスラインとサポートラインとして機能することは少ないです。
移動平均線についてより詳しく知りたい方には以下の記事もオススメです。
設定方法
MT4で移動平均線を使用する場合は以下のように設定します。
「挿入」 → 「インディケーター」 → 「トレンド」 → 「Moving Average」
期間設定は下記のように、場面に応じて設定しましょう。
トレード方法
今回の組み合わせで、エントリーポイントはADXで判断します。
そして、移動平均線は安定したトレンド判断に対して使用されます。
移動平均線は「長期移動平均線」を使用します。
どの分足で見るかによって基本的に設定を変えますが、「100」もしくは「200」が好ましいです。
長期移動平均線が上下どちらかに方向を変えた場合、そこから安定したトレンドに入るとされています。
ここにADXの「ADX」の指標を見ると判断への強い「根拠」となり、勝率を上げることができます。
LOW(売り)のエントリーをする場合、ADXは上向きに長期移動平均線が下向きになっていて、+DIが-DIがデッドクロスした後であり、ADXのオシレーター内で「ADX」が-DIと+DIの間に位置している場合、エントリーをします。
取引でADXをしようする場合、なぜそこでエントリーをするのか理解しないと臨機応変に対応できないので、今回は詳しく解説していきます。
「ADXが上向きになっている」場合は、トレンドの勢いが強くなっているというサインです。
そのため、下降トレンド中の場合もADXは上昇していないとエントリーしてはいけません。
ここは勘違いしやすいので注意しましょう。
「長期移動平均線」の条件は、トレンドの安定性を判断するために使用されます。
長期移動平均線は「ADX」と違い、HIGH(買い)の場合は上向きに、LOW(売り)場合は下向きに推移します。
トレード機会は減ってしまうかもしれませんが、トレンドの確認を確実にするために「短期移動平均線」「中期移動平均線」を入れると勝率が上がります。
短期移動平均線と中期移動平均線を追加した場合、3本の移動平均線が交わらず同じ方向に向いている時にエントリーをすると勝率が上がります。
「ADXが±DIの間に位置している」の条件は、トレンドの継続性を確認するために使用されます。
この組み合わせでエントリーする場合、ADXが間に位置していなかったり、ADXが高い位置や低い位置に張り付いている場合、エントリーしないようにしましょう。
レンジ相場では精度の高い根拠にならないので注意しましょう。
このADXと移動平均線の組み合わせを使うと、エントリーポイントは多く発生します。
またエントリーポイントが明確であるため、エントリーするタイミングに対して迷う事がありません。
しかし、エントリーポイントが多い分だけ騙しも多く、自然と負ける回数も多くなってしまいます。
なので、トータルで勝つためには同じ条件でエントリーし続ける投資家マインドが必要になります。
何回か負けたことから条件を変えてしまったり、金額を不用意に増やしてしまったりすると負けてしまいます。
続ければ勝てるという根拠を明確にしておくためには、ADXや移動平均線というインジケーターの理論や仕組みをしっかり理解することが大切です。
まとめ
ADXと移動平均線の組み合わせは理解に時間がかかってしまいますが、内容がわかると非常に強力な組み合わせになります。
オーソドックスなエントリーをするならばトレード機会も多く、エントリーポイントが明確なため、ひとたび理解できれば安定して稼ぐことができます。
この手法は強力ですが一定の確率で騙しが存在するため、コンスタントに勝つためには負けても同じようにエントリーを続けましょう。